2月も終わろうとしている。
この時期は退職者の送別会が多くなる。
今日は長い間勤めておられた定年退職のAさんが実質上最後の出社日となるため、部内で会が催された。
寡黙なAさんだったが、その真面目さと、これまでの誠実な仕事ぶりが印象的だった。
どちらかというと職人気質をお持ちで、時には嫌われるくらい仕事に徹する姿もあった。
長年のご苦労に対し、皆は口々にお礼や賛辞を述べていた。
2時間ほどの会だったが、あっという間に宴もたけなわとなり、いよいよAさんの最後の挨拶となった。
目をつぶってからゆっくりと席を立ち、Aさんはトレードマークの黒縁メガネを一度はずし、ハンカチで拭った。
普段はあまり表情に変化が無い方だったが、感極まっていたのか、いつもより気持ちが高揚しているようだった。
それまでにぎやかに話していた誰もがAさんの最後の言葉へ注目し、急に水を打ったように場の空気が変わった。
「みなさん、35年間という長い間、本当にお世話になりました。」
とつとつと話し始めた言葉には、これまでの沢山の思い出を振り返り、思いを乗せておられるようだった。
「僕は失敗の多い人間だった。入社したばかりの鼻たれ小僧だった頃は、いつも毎日辞めたい辞めたいと言っていた。」
朝は30分以上前に必ず出勤している姿からは想像できない言葉だった。
「ある時考え方を変えたのが良かったのかもしれない。全てに失敗しない事はない。むしろ失敗のほうが多い。その時の考え方が大事なのかもしれない。」
「失敗の理由が、本当に自分以外の時もある。それでもまわりのせいにして逃げないようにしてきた。 失敗から学べる事に感謝の気持ちを抱くようになっていた。もちろん、自分の力だけでなく、負けずに続けられたのは、支えてくれた仲間のおかげ。感謝の気持ちで胸がいっぱいです。」
その言葉を聞きながら、愚かな借金(失敗)を抱えた自分に叱咤激励されているようで、身が引き締まる思いだった。
帰り道、拍手で花束を贈られ、感極まり目に涙を浮かべたAさんの姿が頭から離れなかった。
どんな世界でも、最後までやりぬいた姿は素晴らしい。
続く限りの完走を誓い、今日も3,000円を返済した。
借金残高 1,619,708 円
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